先日USで行われた「Web 2.0 Conference」をきっかけに、日本国内でもWeb 2.0というキーワードがにわかに熱を帯び、一般化の兆しを見せている。「Web2.0とは」を定義するにはまだ尚早であるという認識が根強い中だが、ここで少し可能な範囲で「Web2.0とは」の整理をしてみたい。
下記はWeb2.0の大家として定着しているTim O’reilly氏の論文「What Is Web 2.0」の図表を筆者が日本のインターネット業界的解釈を加えてローカライズした「Web 2.0 要素MAP」である。
■戦略テーマ: 「Webはプラットフォームとなる」
■ユーザーメッセージ: 「自分の情報は自分でコントロールする時代」
■競争要因:
-「サービス」 ・・パッケージソフトではなくウェブで提供される便益
-「参加型アーキテクチャ」 ・・ユーザを協力者にする構造
-「スケーラビリティ」 ・・規模拡大時のリソース対効果を最大化
-「所有データ」 ・・再構成可能なデータソースとその可変性
-「デバイスフリー」 ・・PC・モバイル・TV・ウェアラブル
-「群衆の叡智」 ・・集められたユーザー体験データは最大の武器
Web 2.0の主たる構成要素と代表的なサービスは以下の7分類になる。
1.Folksonomy:
階層分類学でなく、ユーザーの手で自由に分類する思想
・・・Flickr, はてなブックマーク
2.Rich User Experiences:
AJAX,DHTML,Greasmonkey等を駆使し、ページ上で直感的操作
・・・Gmail,GoogleMap,goo地図
3.User as contributor:
ユーザー体験の蓄積をサービスに転化
・・・PageRank,eBayのユーザ評価,Amazonレビュー
4.Long tail:
ユーザーセルフサービスの提供でロングテールを取り込む
・・・Google Adsense
5.Participation:
ユーザー参加型開発、ユーザー生成コンテンツ
・・・ブログ,mixi
6.Radical Trust:
進歩的性善説、知のオープンソース
・・・Wikipedia、はてなダイアリーキーワード
7.Radical Decentralization:
進歩的分散志向、ネットワークの外部性
・・・Winny,BitTrrent
これらを踏まえ、敢えて「Web2.0とは」を定義するとすれば、
『Webをプラットフォームとして位置づけ、オープン志向・ユーザー基点・ネットワークの外部性といったインターネット本来の特性を活かす思想に則って提供されるサービスの次世代フレームワーク』
というところになるだろうか。
これらはあくまで「議論のための整理」であり、これらそのものをWeb2.0の定義であると考えるのは早計であるが、おそらく今後長きに渡るであろう「Web 2.0とは」の国内での議論の一助になれば、と思う。
参考:
・Web 2.0時代を生きる英語嫌いの若い人たちへの英語勉強法 -My Life Between Silicon Valley and Japan
・O’Reilly “What Is Web2.0″を要約してみる その2 -ユースケース
・Web2.0時代に、ユーザーが経験しておくべき10のこと -Heartlogic
・Web 2.0 Design Patternsの訳
・Webのターニング・ポイントをとらえた重要文献、ティム・オライリーの 「Web 2.0とは何か」 -Zopeジャンキーの日記