マイネット・ジャパンを起業して4年半が経ちました。本当にたくさんの方々のおかげでようやく当初マイルストーンに置いていた「30人の黒字会社」というラインまでやってくることができました。ちなみにそのラインは私が起業を決めた時点のイーマーキュリー(現ミクシィ)をベンチマークしたものです。今はもう次の段階に向けて動き出しています。
まだ起業の第一段階から第二段階に進むくらいのところなので振り返っている場合ではないのですが、最近よく起業を志す方や起業したばかりの若い方とお話する機会があって、その際自分の経験を踏まえていつもお話する内容が3つあるので一度書きとめておこうと思います。
起業から30人の会社になるまでに守っておきたい3つのこと
1.共に「給料を払う側」に立つパートナーを持つこと
共に経営側に立って逃げ場のない戦場に立ってくれる同志を持つことです。←これは私の場合の表現で起業時のスタンスや覚悟によって言葉は異なってよいと思います。要は給料を貰う側でなく払う側に立つ人が自分以外にもいるということです。
経営者とは社員の給料は借金してでも払って当たり前の立場です。起業後すぐの数ヶ月のキャッシュも見えない、1年後会社があるかもわからない状況で同じ志を持ってそのリスクサイドに立ってくれる相手がいることは社長にとって無上の力となります。
実際的な面でもビジョンに裏書きをする人間がいるということからくる金融機関の信用、役割分担(例えば営業を任せきって自分はサービスに集中するなど)による事業拡張性の担保、権力集中による社長のモラルハザードの回避といった大きな効果があります。
2.1年半の「創業オーラ」を存分に活かすこと
創業から1年半程度の期間、起業家には「創業オーラ」が身につきます。変な宗教の話ではありません。創業には通常とは桁違いの熱く強い思いがこもっていますので、起業家のそのテンションの高さが熱病のように周りに伝わっていきます。それが創業オーラです。
この時期は起業家の魅力が爆発していますので、周囲からいいお仕事をいただけたり、PRすればあちこちのメディアで取り上げられたり、レベルの高い人材を採用できたり、社内メンバーも期待以上に活躍してくれたりします。でもその効果は徐々に減衰します。
起業家自身のテンションは変わらなくても周りのテンションは徐々に通常モードになっていきます。そのギャップに大火傷することもあります。周りのモードが切り替わる前に創業のノリだけではない実力とビジネスモデルを手にしておくことが大事です。
3.「選択と集中」の決断を行うこと
創業初期から思い通りのビジネスモデルが立ち上がることは滅多にありません。私の周囲でもほぼ全てのベンチャー企業の創業事業は失敗しています。失敗の場数を踏み、実力と信用を積んでようやく思い通りのビジネスが立ち上がるものと思っておくとよいです。
当初は本業以外のワンショットの仕事がよく舞い込んで来ます。それはもちろんありがたいことなのでガツガツやるのもよいでしょう。またトレンドや周りの話に影響されていろんな事業に手を出したりすることにもなります。それも場数になるのでよいでしょう。
しかし必ず「時は今」と決断して一つの事業を選択し集中しなければならないことを覚えておいてください。リソースの分散状態を廃し、ビジョン・力量・タイミングがピタリと合わさる事業に自身の豪腕で一点集中することなくしてベンチャーとしての飛躍はありません。
一人でも多くのベンチャー起業家が起ち、生き残り、社会に価値を生み出し続けられることを強く願っています。
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