2011年06月19日

スクーリングパッドでの講義「飲食店と情報」

6月18日、外食の大学「スクーリングパッド」で講義を持たせていただきました。テーマは「飲食店と情報」。ゼロから繁盛店ができるまでの情報発信について、マーケティングの視点と実際の発信手法を交えてお話させていただきました。

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講義の中では特に「芯と技」について厚くお話させていただきました。

芯とはオーナーやお店の背景ストーリーに紐付くもの。お店が伝えたい真の価値です。お店が情報発信をすることは芯を広めていくということにほかなりません。

固定客は芯に共感して固定客となり、クチコミのインフルエンサーは芯のあるお店を好みます。芯が時節に合えばメディアも取り上げていきます。

従来から繁盛店は芯を備えていました。ソーシャルメディアの普及に伴い、芯がネット上のクチコミで拡散されやすくなりました。また芯が検索ワードとなってサーチからの集客を掬い取れるようになりました。

お店に"芯"があることの価値がインターネットによって拡張されているのです。

飲食に携わる方々にはデジタルよりアナログを大切にする方が多くいらっしゃいます。そのためにインターネットを毛嫌いする方も多いです。私もかつてはそうでした(ホントですよ)。

でも実は、インターネットはデジタルではなく人のぬくもりのあるもの、アナログの価値を拡張してくれるものなのだということを、これからもたくさんの方にお伝えしていきたいと思っています。

関連: スクーリングパッド-外食の大学 受講を終えて|近江商人JINBLOG

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2011年06月11日

起業から5年・等身大のアントレプレナーシップ論

先日、神戸大学の季刊誌「ビジネス・インサイト」のアントレプレナーシップ特集に寄稿させていただきました。執筆時はツイッター上でたくさんの方にフィードバックをいただきました。お礼を込めてここで文章を公開させていただきます。

『起業から5年・等身大のアントレプレナーシップ論』

■起業とは

「起業とは存在しなかったありがとうを創造すること」。私は起業という言葉をこのように定義している。世の中には殊更に起業を特別視する風潮もあるが、上記のように考えれば起業家精神=アントレプレナーシップは起業家だけが持つものではなく、広く社会に生きる人々すべてが持ちえる概念である。

「存在しなかったありがとう」とは既存の社会の枠組みでは成立していない価値のことである。それはサービスアイデアが斬新であることもあれば、経済的に存続しえなかったコンセプトを新たな仕組みで成立させることもある。またある地域で流行した価値を別の地域に移植するというものもある。

サービスのイノベーション、仕組のイノベーション、流通のイノベーション、これらいずれも新たな価値の創造であり、起業とはこうしたイノベーション活動そのものである。私たち起業家は人や資金を集めてそれを源泉にイノベーションを起こし、創造した価値を社会に届けて利益を生むことを生業とする人種である。

起業家の姿といえば成功を収めた後の華やかな面がクローズアップされがちだが、実際は極めて泥くさく人間的な営みが繰り広げられる日々である。本稿では成長途上の起業家の生身の肌感覚を読者の皆さんに共有したい。

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2006年6月17日マイネット・ジャパン発足集会@銀座 大川ビル屋上

■起業から学んだこと

私の経営する株式会社マイネット・ジャパンは2006年創業のインターネット企業である。2011年3月現在、40名の従業員と1.5億円の資本金で飲食店向けのモバイル集客サービスを営み、黒字経営で成長中である。顧客は全国3万店、外食領域で国内トップシェアとなっている。

現況だけを見れば順調な起業のように映るかも知れない。だがそこまでの軌跡は平坦なものではなかった。起業してからの5年弱の間で見える景色がすっかり変わってしまったものもあればずっと変わらぬものもある。それぞれ3つずつ挙げてみよう。

■事業は一変する

すっかり変わったものの第一は「事業」である。当社の創業事業は「newsing」というニュースコミュニティサイトであった。リリース時は全国紙などにも取り上げられて順風満帆のように見られたが、実際は当初1年間この事業はほとんど無収入だった。アヒルの水かきのように水面下で受託仕事を回しまくった。

「目立つものはすぐには儲からない」。私がここで得た教訓である。メディアが取り上げるのは新奇なものだが、それが新奇なのはそこにまだお金が回っておらず大手が参入していないからである。反対に現在の主力事業であるモバイル集客「ケイティ」は決して目立つ存在ではなかったが、潜伏的に大手が見出していないビジネスモデル(フリーミアム)によって勢力を拡大し、開始2年後に大きくリソースを充てて浮上させて業界1位に昇りつめた。

現在は収益の8割がケイティによるものである。DeNAやミクシィをはじめ私の周囲の起業家でも主力事業が創業事業とは大きく異なるものになっている人は多いが私も同じであった。起業家として存命するには事業の変遷に耐えうる組織を作る力が大切だと感じている。

■資金調達は時の利

変わったものの第二は「金」である。800万円でスタートした資本金は現在1.5億円となっている。創業前にはエクイティファイナンスの知識はほとんどなく、第三者割当増資を行うことなど考えもつかなかったが、外資系金融に勤めていた旧知の友人が社外役員として後押ししてくれたことで当社はベンチャーファイナンスの世界に足を踏み入れることになった。

増資を前に私が執った行動は「初年度黒字と自社サービス2件リリースの絶対達成」を掲げることであった。増資を行う上で投資家側に端的にわかる「おみやげ」を作ることだった。当社はこの目標を達成し、創業9ヶ月でたいへん高い価額算定を受けて最初のファイナンスを行った。

ちなみに黒字を達成した収入の95%は受託収入。投資家側が測るべき自社サービスの成長性はまだ全く未知数であったが、投資側の論理として「黒字化能力をもつ自社サービスベンチャー」として価額がついた。価額が高ければよいというものではないが、高評価を受けた資金調達ができたことで後の選択と集中に伴う赤字期間を乗り越えることができた。

■人の成長と健康問題

変わったものの第三は「人」である。自分も含め、メンバーが成長した。正解の見えない問題を前に悩み苦しみ考え抜いた者ほど大きく成長した。ベンチャーでは人がよく育つというが、大企業では得られない激流のような時間が人を育てることは強く実感した。

しかし問題もあった。ジェットコースターのようなあまりに激動の日々に社員の心身に健康問題が発生することがあった。起業途上においてこれが最も私の頭を悩ませた。この問題への明確な解は未だ見つかっていないが、私が執った行動は事実に対して真摯に立ち向かい責任を正面から受け止め、この問題に十分な人と時間を充てることだった。

社員の心身の健康問題は私の価値観を変えた。起業家というのは自意識過剰なもので、私もご他聞に漏れず「自分と共に道を歩む人は必ず幸せにできる」というような傲慢さを持っていたが、今は一人ひとりの仕事に対する価値観を尊重し、仕事量のマネジメントと社員のケアには特に敏感になっている。

■変わらないもの

創業から決して変わらないものも3つ挙げておこう。

一つ目が朝の風景。創業の日から5年間1日も欠かすことなく朝は全社ミーティングから始まる。創業メンバーが誰も一緒に働いたことがないところからのスタートで、互いが互いを知るためにと創業の日に決めた最も大切なコミュニケーションの時間は、絶えず意味ある姿にとかたちを変えながら今も毎日続いている。

二つ目が理念。当社の理念「どこでもドアの実現」は一見突飛なものだが創業の日から変わらない。人にとって最も大切なものは人であり、人と人が会うところに生まれる刺激や共感という価値をインターネットの力でたくさん生み出していこうという考えは社員全員に一貫したまま、日々なお深まっていく途上にある。

三つ目が人。5年前に起業に参加した創業メンバーの5人、役割は動きながらも今も5人全員が共にいる。当時20代後半だった跳ねっ返りたちも今や40人の会社を率いる重要なポジションを占める。実は未だにその5人だけで酒を飲んだことはない。落ち着いて創業を振り返るような日はまだ先送りにして、互いを信じてただ毎日前進する日々である。


■起業から40人の会社になるまでに学んだ3つのこと

私はまだ起業の第一段階から第二段階に進むくらいのところなので本来まだ過去を振り返っている場合ではない。だが最近よく起業を志す方や起業したばかりの若い方と話す機会があり、その際自分の経験を踏まえていつもお話する内容が3つあるので将来起業を志す方のために記しておきたい。

■1.共に「給料を払う側」に立つパートナーを持つこと

共に経営側に立って逃げ場のない戦場に立ってくれる同志を持つことを強く勧める。「戦場」は私の場合の表現で起業時のスタンスや覚悟によって言葉は異なってよい。要は給料を貰う側でなく払う側に立つ人が自分以外にもいるということだ。

経営者とは社員の給料は借金してでも払って当たり前の立場である。起業後すぐの数ヶ月のキャッシュも見えない、1年後会社があるかもわからない状況で同じ志を持ってそのリスクサイドに立ってくれる相手がいることは社長にとって無上の力となる。

実際的な面でもビジョンに裏書きをする人間がいるということからくる金融機関の信用、役割分担(例えば営業を任せきって自分はサービスに集中するなど)による事業拡張性の担保、権力集中による社長のモラルハザードの回避といった大きな効果がある。

■2.1年半の「創業オーラ」を存分に活かすこと

創業から1年半程度の期間、起業家には「創業オーラ」が身につく。変な宗教の話ではない。創業には通常とは桁違いの熱く強い思いがこもっているものなので、起業家のそのテンションの高さが熱病のように周りに伝わっていく。それが創業オーラである。

この時期は起業家の魅力が爆発しているので、周囲からいいお仕事をいただけたり、PRすればあちこちのメディアで取り上げられたり、レベルの高い人材を採用できたり、社内メンバーも期待以上に活躍してくれたりする。でもその効果は徐々に減衰する。

起業家自身のテンションは変わらなくても周りのテンションは徐々に通常モードになっていく。そのギャップに大火傷することもある。周りのモードが切り替わる前に創業のノリだけではない実力とビジネスモデルを手にしておくことが大事である。

■3.「選択と集中」の決断を行うこと

創業初期から思い通りのビジネスモデルが立ち上がることは滅多にない。上述したが私の周囲でもほぼ全てのベンチャー企業の創業事業は失敗している。失敗の場数を踏み、実力と信用を積んでようやく思い通りのビジネスが立ち上がるものと思っておくとよい。

当初は本業以外のワンショットの仕事がよく舞い込んで来る。それはもちろんありがたいことなのでガツガツやるのもよい。またトレンドや周りの話に影響されていろんな事業に手を出したりすることにもなる。それも場数になるのでよい。

しかし必ず「時は今」と決断して一つの事業を選択し集中しなければならないときが来ることを覚えておいてほしい。リソースの分散状態を廃し、ビジョン・力量・タイミングがピタリと合わさる事業に自身の豪腕で一点集中することなくしてベンチャーとしての飛躍はない。


一人でも多くのベンチャー起業家が起ち、生き残り、社会に価値を生み出し続けられることを強く願っています。

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2011年06月05日

中国で商売をやる -2011年4月

4月最終週に1週間、上海と北京を回ってきました。これまで口ばかりだったアジアでの事業展開を明確に決定するに至った極めて貴重な出張になりました。

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上海初日・上陸(@ueharajin)/2011年04月24日 - Twilog
初日。上海の活気に溢れる人々とゴツゴツした空気に一気に惹きつけられた。すべてが成長と共にある。

上海2日目・ビジネスMTG(@ueharajin)/2011年04月25日 - Twilog
この街には閉塞感のかけらもない。誰もが明るい未来を疑わない。あまりにも洗練されていない人と街とビジネスに、商売に生きる者として心が沸き立つようだった。

上海3日目・北京へ移動(@ueharajin)/2011年04月26日 - Twilog
10年前から中国で勝負してきた人々の系譜を辿り七転八倒の歴史を知る。「俺は必ずこの街で商売をやる。」自ずとそんな言葉が口をついて出ていた。

北京2日目・GMICカンファレンス(@ueharajin)/2011年04月27日 - Twilog
1億ユーザーという数字が平気で飛び交う中国市場。しかし中国ネット事業者のスタッフたちの足が地についていないのを感じた。「バブル」。

北京3日目・現地駐在員(@ueharajin)/2011年04月28日 - Twilog
現地駐在員たちとの会食で、中国のモバイル市場の有様とともによく聞かされる裏の中国をつぶさに知る。この国のインサイダーにならなくては商売は成り立たない。

北京4日目・北京企業群(@ueharajin)/2011年04月29日 - Twilog
中国企業との対話にも慣れてきて、中国語での自己紹介も身についた。もう一つこれを明言するようになった。"Mobile CRM for restaurants, No.1 player in Japan"。何の日本代表か。これがあって初めてテーブルにつく権利がある。

中国最終日・決意(@ueharajin)/2011年04月30日 - Twilog
中国最終日。遠くで見ていたものとはまったく異なっていた。中国は極めて現実的なマーケットだ。


中国には80年代の日本がある。目をギラギラさせた若者とゴツゴツと荒削りな街の空気。誰もが成長を求めている。誰もが明るい未来を疑わない。大好きな空気だ。俺は必ずこの国で商売をやる。そして成功する。

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2011年3月近況: 地震

今年の1月に久しぶりにブログを書こうという気になって何本か書いてようやく長文脳を取り戻したと思えた矢先、気づけば4ヶ月放置の駄ブログになっていました。

2月はイベント・執筆で汲々の日々、3月には地震がありその後新卒採用days、4月は西日本支社設立、サービスリリースラッシュから中国出張、5月はGWとたべにこ店ローンチ。

さらりと並べましたが実際は嵐のような4ヶ月、30代に入って2度目(起業以来)といえる濃さの日々でした。

3月11日の地震はオフィスで迎えました。あまりに長く激しい揺れに神戸の悪夢を思い出しながら、揺れが収まった後は近くの中学校に全員避難して状況を把握。仙台に出張中だった社員とも何とか連絡が取れ、社員とその家族には大過なく済みました。

地震後は神戸での被災経験を元にツイッターで思うところを綴り、飲食業界の震災アクションに合流して#smileat(スマイルイート)活動に参画したり、4月には神奈川の飲食店経営者ら合同での名取市役所での炊き出しに参加するなどしていました。


大道芸歌手にまとわりつく子供たち。どこの小学校?と聞くと「ゆりあげ小学校!津波きて学校なくなっちゃったよアハハ(^-^)」と屈託なく笑った。そして「校歌歌う!」と笑いアカペラで校歌を唄った。


地震週末明けの3月14日時点でマイネット・ジャパンとしての義捐金寄付を発表しました。今も3月13日時点で述べたこの考えに基づいて行動しています。

自分が何かのプロであればプロとして本来業務に120%注力してお金を稼ぎ、余分の20%を寄付するというスタンスがよい。すぐには稼げない?大丈夫、被災は長く続く。切れやすいのは人の気持ちの方だ。プロとして3年・5年と稼いだ金を寄付し続ければいい。当社は最低5年、継続的寄付を行います。

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