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2007年04月11日

ドリコム'07.3期業績下方修正事案の分析

昨日ドリコムがH19.3月期の業績下方修正を発表し、市場もインターネット業界も騒然としています。
ドリコム、2007年3月期赤字転落へ--営業不振で売上高は従来予想の6割 - CNET Japan

ドリコムは4月10日、2007年3月期の連結および個別業績について、売上高が従来予想の6割にとどまり、経常利益は赤字転落すると発表した。同社は「Web 2.0銘柄」として市場の期待が高かったが、上場後わずか1年で大幅に業績を下方修正。

私は昨日、ドリコムがブロガー向けに配信しているPRメールでこの報を知ったのですが、一見した瞬間はかなり目を疑いました。売上15億→8.7億、経常4億→マイナス1.8億。2月に発表した第3四半期までの業績下方修正である程度の通期下方修正は予測できていたところですが、まさかここまでの度合とは思いませんでした。

この件が新興市場に与える影響は小さくないと思いますし、少なからずインターネットベンチャー全体の業績予測に対する信頼度を下げることにもつながるでしょう。同業の者として残念に思います。

ドリコムさんは、個人的には内藤社長をはじめ役員・社員の方々にも見知った仲の方が多い会社です。内藤さんは言わずもがな、役員・社員の方々もそれぞれ個性的で優秀な方の多い会社だと言えます。そのドリコムさんをしてこのようなことを起こしてしまわれたのにはいくつかの理由があると思います。同業の経営者としてではなく1ブロガーとして客観的に思うところを述べてみます。自社経営の今後への戒めを込めて。

1.収益源複線化の遅れ
 「ブログの会社」として企業ブランドを作り上げたドリコムですが、B2Bのブログシステム販売、CMSシステム販売以外の事業についての収益はまだまだの状況と見受けられます。今回もこのB2B領域の下方修正がモロに会社業績に影を落とした形です。

ドリコムさんがB2B以外にパワーをかけていないかと言えばそうでもありません。リクルートインキュベーションパートナーズと共同出資で設立したドリコム・ジェネレイティッドメディアでのB2C事業や、先日公開されたSpaceHunterという広告ネットワークの事業など、収益複線化の活動は精力的に進めていらっしゃいました。ジョブボードや結婚式特化型のSNSなど、先に期待を持たせるサービスも矢継ぎ早にリリースしています。

ただし、元来B2Cや広告NWなどの規模追求型インターネットビジネスは収益化までにたいへん時間がかかり、かつ当るも八卦の領域です。この領域への人・資金の投資を怠っていたとは思いませんが、収益アウトプットとしてはまだまだ弱い状態にあるようです。このことでドリコムの経営は柔軟な事業ポートフォリオマネジメントができない状況に陥っているといえるでしょう。

2.大量採用後の組織整備の遅れ
 ドリコムさんは上場前後からかなりの数の中途・新卒採用をかけていらっしゃいました。一般的に、人が一気に増えるとそれを支える組織体系に穴ができるものです。これはドリコムさんに限ったお話ではありません。

組織は人員規模に応じて柔軟に成長させて行く必要があります。あれだけ(私の主観で)優秀なメンバーが揃っていらして、皆前向きに動いているのにこのような結果が出ているのは、事業計画に対しての組織体系整備が遅れていたのでは、と解釈せざるを得ないと思われます。

3.上場を急いだ
 ドリコムさんは上場基準期(H17.3期)で売上2.4億、経常0.9億、上場期(H18.3期)で売上7億、経常2.3億という状態でした。これはもちろん東証マザーズの公開基準を通っていたから上場できたものではあるのですが、上記1で指摘した通りB2Bでの収益が中心である場合、すなわち「お客様商売」で成り立っている事業の場合は当初PER1000倍近くになるところまで期待された成長率は担保できるものではありません。

B2Cのビジネスやマッチングのビジネスの場合はインターネットのコミュニケーションメリットを十分に享受して急成長のときにも稼動対収入UPによる一人当たり売上高の拡大でカバーしうるのですが、お客様商売というのは基本的に自社か他社(チャネル)の「人間」が動いて初めて成立するものですので、もし急速な成長を遂げようとしても、組織拡大のための組織整備やチャネル拡大のためのコミュニケーションコストを飲み込む必要があります。

ドリコムさんは1で指摘したB2B収益メイン、かつ売上2.4億というまだまだ脆弱な顧客基盤・営業基盤の状態でB2C並みの成長率を期待されてしまう環境に自分の身をおいてしまったために、そのひずみがここに出てしまったものと思われます。


このような分析をしてみましたが、個人的にはドリコムさんが今回の困苦を乗り越えてほしいと真剣に思っています。今回の件で事業構造と市場プレゼンスの齟齬を埋めることができた後には、上記1でも示したような将来を期待できるインターネットサービスでまた新たな価値を社会に生み出していってほしいと願っています。

内藤さん、早く本件からの建て直しを終えて、かつて誰よりも早くブログの可能性に目をつけてblog of the yeah! を企画したりしていた頃のセンスを取り戻して、またおもしろいドリコムを復活させてください。


なお、同日にDeNAはモバゲータウン等の好調を背景にした上方修正を発表しています。
ITmedia News:ドリコムが最終赤字転落 「モバゲー」好調のDeNAは上方修正
両社のサービス、事業、経営にどのような違いがあるか、比較分析してみると学びが多いかもしれません。


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