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2006年03月01日

Yahoo!JapanのSNS参入 -mixiとの比較分析

'06年2月28日、巨人Yahoo!Japanがついに日本のSNSマーケットに参入しました。このマーケットで事実上オンリーワン化しているmixiとの正面衝突がどのような結果となるか、まずは4つの視点から分析してみたいと思います。

1.Yahoo!Japan SNS参入の目的

2.mixiの強みと弱み

3.コミュニティ運営に弱いYahoo!Japan

4.Yahoo!360°を使ってみて

ヤフー、日本でも「Yahoo! 360°」を開始してSNSに本格参 -CNET

ヤフーは2月28日、ブログとソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を組み合わせた新コミュニケーションサービス「Yahoo! 360°」(ベータ版)を開始した。米Yahoo!では、すで に2005年3月29日から開始されているベータサービスだ。

1.Yahoo!Japan SNS参入の目的
今回のYahoo!JapanのSNS参入の目的はYahoo!Japanの井上検索企画室長が度々唱えてきた「ソーシャルメディア化」にあることは間違いありません。「信頼できるユーザーの仲間たちが保存しているページだけを検索することで、目的の情報が見つけやすくなる可能性がある」と語っている通りで、現時点でははてながはてなブックマークによって実現している「はてな市民に最適化されたサーチやニュース」と同様のサービスを、SNSでつながっているより狭い範囲のコミュニティ内で最適化することを狙っていると思われます。

Yahoo!がこの目的に近づくためには、ユーザー自身がYahoo!のSNS内での「友達登録」や「ブックマーク」「タギング」といった行為を進んで行うことが必要で、Web2.0的なソーシャルサービスの基本である「自分のためにやることがデータとして事業者DBに蓄積され、それが勝手にみんなの知恵になる」という回転が回るサービス機能の提供とコミュニティ内の性善な文化の醸成が必須となります。この点については、後述3のYahoo!のコミュニティ運営の弱さは大きなネックとなるでしょう。

2.mixiの強みと弱み
mixiがYahoo!のSNSを競合と位置づけたときに最大の強みとなるのは、やはり2年間の先行期間で積み上げた300万人のアクティブなユーザーコミュニティです。SNSはネットサービスの中でも特に「ネットワークの外部性」(参加者が増えれば増えるほど場の価値が高まること)の強く働く分野です。加えてそこに招待制とリンク関係というユーザー間の強固なつながりの網の目と自浄作用を組み込んだままに300万人まで広げてきたコミュニティは、例えYahoo!が1000万人近いY!プレミアムとYBBのコミュニティ濃度の薄いユーザーを突然SNSの器に放り込んでも決して真似できるものではありません。むしろ、3月~5月で適度にコミュニティ濃度の濃いユーザーコミュニティが育っても、濃度の薄いユーザーが大量に入ってきた時点で全体としてアクティブ率の低い面白みの薄いコミュニティとなってしまう可能性が高いでしょう。集客力は記名コミュニティにおいては諸刃の剣となります。

またもちろん、mixiにとってはその70%が3日以内アクティブ率を保っている300万人のユーザーが相互に最大のコンテンツとなっていることもポイントです。

反対にmixiの弱みは、Yahoo!US配下のFlickrやdel.ici.ousといったサービスと比較して、ソーシャルブックマークやタギングといった機能を投入してきていないことによりソーシャルデータの蓄積の仕組みが不十分であることと、「資本力」です。

前者はユーザー母数が増えれば増えるほどユーザーにアクティブに利用させることが困難になるタイプの機能であるため、Yahoo!のSNSが日本のネットコアユーザーに浸透している上記のブランドとUIでその機能を組み込んできたときには、コアユーザー離反のきっかけとなりえるでしょう。

後者の弱みはYahoo!と比較したときには言わずもがなになってしまいますが、特に先日のmixiニュース開始と「ポータル化報道」で一部ユーザーの反発を招いたタイミングということもあり、Yahoo!のSNSがUSにおけるMySpaceのように多ジャンル展開でのポータル化競争に土俵を持ち込もうとしたときには資本の勝負となるため不利を受けることになります。

3.コミュニティ運営に弱いYahoo!
反面、Yahoo!Japanがこれまで取り組んできたコミュニティ運営において、あまり上手く行った例がない、という点は重要です。荒れるYahoo!掲示板、回答率の低いYahoo!知恵袋、そして、集客力が直接効くブログでもサーバの重さが不評で中位に甘んじていることなど、ネットの巨人であるがゆえにネットコアユーザーが性善化せずに好ましいコミュニティ文化が築けなかったり、大企業病の予兆かインフラ投資のサイクルが遅いことなどが良好なコミュニティの形成を妨げているようです。

Yahoo!Japanにとっての唯一の成功コミュニティサービスである「Yahoo!オークション」との間にカニバリゼーションがある(SNS内で認知したユーザー同士の取引には関与できず、手数料を取れない)ため、サービス間の連携が困難であろうこともネックとなるでしょう。

4.Yahoo!360°を使ってみて
さっそくYahoo!360°日本語版(日本では仮称)を利用してみました。マイページ・リンク・日記・コミュニティ(準備中)・メッセージ・足あとといった機能はほぼmixiの成功例を踏襲しており、特に目立つところはありません。mixiにない機能として、友達へのタグ付けをして友達管理ができる機能やデザインテンプレートの変更機能、メッセージ同報機能、友人のトップに表示される「ひとこと」機能といったものが特徴となっています。

使用感としては、mixiを真似ただけのライブドア・フレンドパークなどと比較すれば新味もあります。ただ、コレという惹きになる機能がないことも事実です。上記でも触れた、USで人気の高いソーシャル系サービスが当初の設計には組み込まれていないため、当面大きなユーザー動向の変化は見られないものと予測します。


今回のYahoo!JapanのSNS参入によって勢力図がどのように変化するかはまだ流動的な状況と言えますが、まだまだインターネットコミュニティは本当の意味での「一般の人々」にとって居心地のいい場所ではないこともまた事実であり、このSNS競争がより多くの一般ユーザーをインターネットに参加させていくきっかけとなることを期待します。


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