2005年08月07日
株式市場とM&A勉強会 議事録
8月3日にRTC勉強会の第4回として、「株式市場とM&A勉強会」を行いました。金融・IT・コンサル・人材紹介・学生などなど、さまざまなバックグラウンドをお持ちの30名強の方々が集まって、たいへん有意義な時間を過ごすことができました。ご参加の皆さん、ありがとうございました。
勉強会の内容は、第1部が「株式市場とM&A」についての保田さんの講義、第2部が参加者がチームに分かれてM&Aの捉え方についてのディスカッションを行い成果を発表する、というものでした。第1部でまずお題についての知識を吸収し、第2部では多様な背景の参加者が1部のフレームを共有しながら議論する、というスタイルを取っていますが、参加者のみなさんからには今回も楽しんで帰っていただけたようです。
以下は第1部の議事録です。アップがたいへん遅くなってしまいました。
では、また次回もよろしくお願いします。
【第一部】保田隆明の「株式市場とM&A」講座
■M&A目的の資金調達手法として最近流行っているのがMSCB(=Moving Strike Convertible Bond)。
まず「社債」とは、ローンと同様に利子を付けて一定期間投資家からお金を借りるもの。株式発行に比べて短期間(数週間)で発行できることや、株式価値を希薄化させることなく資金調達できることがメリットである。
次に「転換社債」とは、一定の条件を満たすと株式に転換することのできる社債である。短期で発行できかつ後で株式に転換されるという意味で、社債と株式発行のいいところをあわせたようなものである。
MSCBは転換社債の一種で、株式への転換価格を変動させる条件を付けたもの。一般的に変動する株価に連動して、時価の10%引き程度に転換価格を変動させるもので、ライブドアのニッポン放送買収に向けた資金調達手段としても採用された。発行企業が倒産しない限りは、引き受け手がほぼ損をしない仕組みであることもあり、かつてMSCBと言えば経営危機に陥った企業が使う手法(ex:クラリオン)と位置づけられていたが、近年、日商岩井とニチメンの合併会社である双日が発行したあたりから一般的な資金調達手段として認知されるようになった。
M&Aの手法として、少し前までは「株式交換」が流行していたが、株式の新規発行が必要で時間がかかることや、アドバイザリーの証券会社に手数料が入らないことなどの理由から、最近では証券会社は専らM&A企業に対してMSCB(手数料が入る)を提案する傾向にある。
最近のMSCBは社債としての利率を0%と設定することが多く、この場合発行企業は無利子・短期間で資金を調達できるということで、M&Aを行う企業に人気を博している。
●質問:株式と社債の発行期間はなぜそんなに違うのですか?
証券業法によるもの。社債は私募(特定の引きうけ手からだけ募集する)での発行が可能だが、株式は公募が原則。募集にかかる手間が異なることが主因。
会社は生き物、日々変化している。買おうとおもったときに買わないと取り返しがつかない。M&Aはスピードが重要。
●質問:転換社債と株式交換のメリット・デメリットはどういったものですか?
転換社債は発行後に資金が不要になった場合に社債として買い戻すことができ、そうすれば株式の発行を行わなくてすむ。株式交換の場合は、実施時点で株式の追加発行が必要となるため、株式発行の手間がかかり既存株式の希薄化も起こることを避けることができない。
●質問:普通の転換社債とMSCBの債権市場での発行の比率はどのようになっているか?
金額ベースではまだまだ転換社債とMSCBの比率はまだ転換社債の方が多い。ただし、件数としては肩を並べる程度までなってきている様子。
■M&Aの実際
M&Aは「交渉」そのものなので、アナログなかけひきが重要となることも多い。たとえば、かけひきのためにあえて交渉を深夜に行って相手の集中力を奪うなどの行為も日常茶飯事。
M&Aの実務を行っている中で、企業を買うときに怖いものが3つある。
一つは「隠れた債務」。帳簿に載っていない債務が存在することがあるということ。二つ目は「想定外の不法行為」。例えば、買収対象企業が未払い残業代を残していたために買収後に訴訟を受けて想定外の費用が発生する場合などがある。三つ目が「オーナー社長」。オーナー社長が売却後の膨大な退職金支払いや売却後の給与大幅アップなど会社と不当な契約を結んでいる場合などがある。
このような怖いことが起こらないように、M&A契約書の中に「表明保証」「損害賠償」の条項をつける。この条件交渉においては弁護士の力が重要。たとえば化学会社を買うときの「土壌汚染」や「アスベスト」のような話は50年後になってから訴えられるかもしれない。このため、対象期間や条件の設定のために弁護士が活躍することになる。
●質問:M&A契約書の相手は買収先の株主なのか?経営陣なのか?
多くの場合、M&A契約書の相手は買収先企業の経営陣となる。これは、売却時点での企業価値についての責任や理解は経営陣側にあるものだから。
ちなみに、買い手も「表明保証」する。会社が存在していることの保証など。
●質問:その他によくいれる条項は?
エスクローアカウントについての条項などは入れることが多い。エスクローアカウントとは、買収後一定期間中立的な場所にお金をプールしておき、契約内容の実際が見えてきたところでお金が当事者に支払われる、というもの。エスクローアカウントを担当するのがエスクロアーで、ほとんどは銀行などの金融機関。
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