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2005年01月26日

SONYの大企業病

切込隊長がこのところ「SONY」にターゲットをチューンしています。木村剛氏との騒ぎが時間とともに、また、リアルに木村氏が苦しみ始めたことへの憐情の空気とともに風化しつつある中で、今回は「株主」としてのスタンスを明確にして”検事の視点(笑)”でSONYを論じようとしている、というところでしょうか。

直近のエントリーでの彼の指摘の論点をまとめると下記の5点に絞られます。

・幹部役員の自己保身行動
・一般社員に蔓延する内向き仕事志向
・事業計画マイオピア
・若年層向け市場でのCSR欠如
・大規模クライアントのメディア操作

要は大企業病とそれに伴う社会倫理の低下に関するポイントで、これ自体はSONYに限らず、企業としての成長限界に達して縮小均衡政策で短期的財務成績の担保に傾注する多くの日本の大企業に共通する構造的課題です。これに対する抜本的な対策は少子化による長期トレンドとしての国力成長余力の低下や企業の本質的グローバリゼーションを停滞させる言語問題・国民気質の問題にまで器を広げる必要があるため、木村剛氏いわくの「あるべき論」レイヤの議論を政治レベルで深めなくてはならない領域です。すなわち、ここでSONY個別に振りかざしても本質的には意味をなさない。

ここでSONYの経営陣に投げかけてしかるべきなのは、もう少し卑近なレイヤの議論ではないでしょうか。

今回の直接攻撃のきっかけとなったのはPSPの初期不良問題に関連するSCEI久夛良木社長のコメントのようです。

「使用する液晶画面はこれ以上小さくしたくないし、PSP本体もこれ以上大きくしたくなかった。ボタン位置も狙ったもの。それが仕様。これは僕が作ったもので、そういう仕様にしている。明確な意思を持っているのであって、間違ったわけではない。世界で一番美しいものを作ったと思う。著名建築家が書いた図面に対して門の位置がおかしいと難癖をつける人はいない。それと同じこと」

例えば、3年前にこのコメントを目にしたとしたら、「いやはやソニーさんはやっぱり一本スジが通っていてすばらしいですな」という解釈も効いたところだと思います。しかしながら現在のソニーの状況というのは、ソニーショックによって投資界での信用を失墜させた上に、開発戦略の失敗による新三種の神器競争での出遅れ、価格競争ブランドへの堕落といった失態の末の「ソニーもうだめぽ」なわけです。そのような状況の中でこういったコメントを吐いてしまう久夛良木氏へなすべき提言は、

「空気読め」

だろう、と。
すなわち、SONYは自分自身の大企業病やブランド力の失墜を消費者よりも先取り(まだ世の中一般にとってはヨン様並にカッコイイヨソニー)して自認し、より真摯で愚直なIR、PRをするべきですよ、と。企業にとって、マーケティング志向と技術志向、顧客満足と市場創造との間には、それが融合して完遂されるまでの間においてはほぼ対極といえるほどの溝が見えるものであり、その完遂までの間のIR,PRを強硬な信念・スタンスで行うか柔軟なおかげさまスタンスで対応するかは「時の利」で判断しなくてはいけないものです。世間の風向きが悪いときはじっと我慢で潮目の変わるまで内部の努力を続けるのです。その世間の風向きを見ることもまた「ブランドマーケティング」の重要な視点です。そこを見誤っていることが本件の問題点であり、そのスタンスを正すことが、今、「あるべき論」ではなく「やるのか論」として現実的にSONY(=今や日本の国際戦略上弱っては困る企業)に目を覚まさせる方法ではないでしょうか。


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